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よく使うチャート分析

売買タイミングを見極める

できれば含み益から始めたい

どんなにいい銘柄でも株価は上下に動く.株価は「この価格なら買う/売る」という売買が成立することで時価が決まるのだから,株価はある範囲内でランダムに値動きする.

たまたまその時,この価格で利益を確定させてしまいたいと考える人が多くて売り圧力が強まり,株価が下落したとしても経営がしっかりしている銘柄ならしばらくすれば上がっていく.

できることなら,買い圧力が高いときに買って,含み益からスタートさせて,その後に利確の売り圧力が強まっても含み益が減るだけで元本割れしないという状況を作りたい.

一方で,買ったはいいがある程度上がった/もっといい銘柄が見つかったのでそろそろ利確したいという場合もある.

逆に長期で持とうと思っていたがしばらく下落が続いており,降りた方がいいのだろうか?と考えるときもある.

そういった売買タイミングを感覚的におこなうか,機械的におこなうかという話である.普段は感覚に頼るが,迷ってどうしたらいいか分からなくなる場合もある.そういうときの手段としてチャート分析は役に立つ.なぜなら何も考えなくていいからだ.

よく使うツール

別にどのサイトのものでもいいが3つのインジケーターを使いたいので私はTrading Viewに課金している. トゥルー・ストレングス・インデックス(TSI)と相対力指数(RSI)と20,50,100日指数平滑移動平均線(EMA)を使っている. TSIは底からの反発を見つけるために,RSIは売られすぎ/買われすぎを判断のために,EMAは売買タイミングに使っている.

細かい説明はTrading Viewのヘルプセンターに書いているので,ここではいくつかの銘柄のチャートを例に見ていく.選んだ銘柄はどれも買ったことのないものにした.その方が変にバイアスがかからずに説明できる.

例1 リクルート2023

リクルート2023

この銘柄は結果論としては上昇と下落を繰り返しながら右肩上がりだ.それでも下落したときにどこまで下落するかは,その瞬間には分からない.

①を見ると売られすぎであることがわかるが,RSIが低いまま(株価が下がり続ける)ということはよくあるし, 株価がフラットになるとRSIは緩やかに50%に戻ってくるのでRSIが下がりすぎだからといって買うということは無い. ただしこの後,上昇タイミングがあるかもしれないくらいで注目する.

②を見るとマイナス領域で短期線が中期線を下から突き抜けるゴールデンクロスが生じている. TSIがマイナスということは売り圧力が強いことを意味する. マイナス領域でのゴールデンクロスは売り圧力から買い圧力への反転の可能性を意味する. ただし,よく見るパターンとしてゴールデンクロスしては元に戻りゴールデンクロスしては元に戻り・・・というのもある. それでもそろそろ上昇に転ずると考える. 資金を何度かに分けて投入する場合は一度入れてみるのも悪くない.

③で20EMAが50EMAを下から突き抜けるゴールデンクロスが確認できる.このときのRSIは買われすぎではない. TSIのマイナス領域でのゴールデンクロスの後であることもあり,買いタイミングと考える.

④で20,50,100EMAが上向きとなる.これを上昇パーフェクトオーダーといい,強い買いシグナルと言われている. 予定していた残りの資金があるなら投入を検討する.(3回に分けての購入)

ではいつ売ればいいかであるが,⑤のタイミングになる. まず日足のロウソク足が20EMAを上から下に貫いたときに売るべきかを検討する. バッドニュースであれば売ってしまう.迷うなら半分売るでもよい. そして,⑤の50EMAを突き抜けときに問答無用で売る.

このケースでは利益が出ているし,その後の下落を回避できている.頭と尻尾は取り逃すが格言通りそれていい.

例2 リクルート2023~2024

リクルート2024

同じ説明になるのだが,①を見ると売られすぎに近いことがわかる.

②でマイナス領域でゴールデンクロスが生じている. そろそろ上昇に転ずると考えて資金の一部を入れるのも悪くない.

③でゴールデンクロスが確認できる.買いタイミングと考える.

④で上昇パーフェクトオーダーとなるので,資金を投入する.今回は③と④が短期間に起きている.

⑤の付近でロウソク足が20EMAを貫いたので売りを検討し,その後に50EMAも貫いたので全て売る.

問題はこのあと買い戻すかどうかである.撤退しても利益は出ているが,⑥ですぐに強い反発が起きている.

これは過去のチャートなので,このあと上がるということが分かっているが,その瞬間には分からない. 持ったままだったなら,反発して喜ぶのもつかの間,すぐにまた下がり50EMAにタッチするまで下がっており気が気ではない.

このケースでも利益は出ている.だが,その後の大きな上昇を取り逃している.

ここでマイルールをどうするかという問題になる.20EMAを突き抜けて売りを検討し,50EMAで全部売却というルールで話をすすめたが 20EMAで3分の1を,50EMAでさらに3分の1を100EMAにタッチで完全売却といったルールにしてもいい. そうすると⑦で完全売却となる.それでもその後の上昇は取り逃すことになるし,よく見ると⑤で売った時とさほど変わらない.

⑧で売れるならそれが一番といえる.だがこの手法ではそこまでの大きな上昇を取りに行くことはできない.

例3 リクルート2024~2025

リクルート2025

日銀ショック前後からのチャートになる. こうして過去のチャートを見る分には,ここで買ってここで売っていたら利益になっていた,というところはあるがルールに従って売買していく.

①で売られすぎ,②でゴールデンクロスがあり買いを検討/または一部買いを入れる. そして,⑥でさらに買いを入れるが⑦で損切りする.

このルールで売買すると大きな利益は取り逃すが,大きく負けもしないため市場からの退場は避けられそうだ.

5日移動平均を使って感度を下げる

リクルート2024_2

例2に示した2023~2024年のチャートに5EMAを追加した. 日足と20EMA, 50EMAのクロスではなく,5EMAと20EMA, 50EMAのクロスで売りタイミングを計るというアイディアだ.

日足を使うよりも感度が下がるので,要人の発言などで1日だけ下落したといった場合でも売りシグナルになりにくくなる. どちらがいいかはそのときのマーケットのボラティリティ次第ではあるが,要人の発言が決定事項なのか,予想程度なのかなど判断材料になる.

そもそも論

完全にチャート分析だけで売買するというのもアリだが,やっぱり銘柄選びの基準はファンダメンタルが重要だし,利上げ/利下げはセクターに追い風/逆風になる. マーケット全体が上がり基調であること,企業のファンダメンタルがしっかりしていることを前提として,売買タイミングをチャート分析で測るというのが良いと思う.

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